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■冬ごもりの長い夢
 向こう岸には花畑、そこで踊るのは目がくらむほどに綺麗な少女、ぼくは川に飛び込んでクロール。そのうち疲れて不格好な平泳ぎに転向した。まるでカエルみたいだ、大きな太った蝦蟇ガエル。あそこで踊る少女に比べれば、ぼくなんて蝦蟇がいいとこだろう。まったく、同じ種族と思えないくらいに少女は美しくてその踊りは質量なんて感じさせないくらい軽やかでいて、天使と呼ぶには羽根と輪っかが足りないというだけの代物だった。羽根と輪っかが似合う人間というのはそうはいない。仮にぼくが二つをこの身に授かれば、グロテスクな戯画でしかないだろう。まったく、ぼくは少女に近づいて何をするつもりだろう。天使と蝦蟇とじゃ全くつりあわなというのに。
 身の丈にあったカエルの泳法で順調にぼくは岸辺にたどりつく。花畑の少女はそんなぼくに気付かず踊る。ぼくには少女の踊りを邪魔する勇気はなかった。ただうずくまって少女を眺めていた。ぼくがひと声でもあげた刹那、花畑の魔法は解けて、少女は跡形もなく消えてなくなり、ただひとり残されることが怖かったのだ。ぼくにはこれだけ近づいても、少女が実在していることが信じられなかったのだ。泳いでいる間、きっと蜃気楼みたいに進めば進んだだけ遠ざかっていくものだと確信していた。少女の姿が鮮明に近づいてくることにむしろ違和感を覚えたくらいだったのだ。その気になればぼくはクラウチングスタートで少女の元へ駆け寄ってその勢いのまま押し倒せるだなんて現実はとても信じることができなかった。きっとぼくは何にも触れることなく踏み潰した花に足をとられて倒れ伏して地べたとキスを交わすのがオチだろう。
 つまるところぼくが少女を押し倒してそのままキスをしたことについてはぼくの浅ましい妄想の咎は認めるものの全く意図していない事故に等しい出来事だった。ぼくは目前にした少女の実在を全然認めていなかったのだ。むしろ、ぼくのような男の前に前置きもなく出現した少女の方に過失があるのではないだろうか。そういう次第でこのまま少女が醜い蝦蟇男に蹂躙されるのは致し方のないことだった。カビ臭く苦い土の代わりに甘くてしょっぱい少女の口腔を味わう羽目にぼくは陥ったのだ。歯と歯の間でジャリジャリとする感触の代わりに舌と舌をからめあってその熱と柔らかな感触に恍惚となるのは全く意図していないことだったのだ。擦り傷をこしらえて血まみれになるかわりに少女とぼくの唾液で顎まで濡らして互いの境界線が曖昧になるくらいに長く痺れるキスをするという過失を少女は自らの不注意によって招いてしまったのだ。
 ぼくの水に浮きやすい脂肪だらけのでっぷりとした身体は筋張った少女をの身体を包み込むかのようだった。垂れ下がった贅肉に窒息しているみたいに胸の下で少女が激しく喘いでいる。ぼくの身体の無駄な脂肪は、きっと少女の体重の二倍も三倍もあるのだろう。肥大した臓器や粘膜をあわせれば、きっと少女の一人や二人つくろえるくらいの分量はあるのだろう。どうして、ぼくが過剰に摂取したカロリーは少女でなく脂肪として醜くぼくの身体につきまとうのだろう。今までそれが呪わしかった。だが、今はこの脂肪を介してぼくは少女を抱いているのだ。脂肪はあらゆる隙間を塞いで、隅々まで少女との密着を助けてくれていた。互いの熱量を交換して、今や少女はぼくの身体に取り込まれていた。ぼくの脂肪は少女を型取る。それを鋳型に少女を鋳造できないものだろうか。
 だけども、今は少女の原器がここにあるのだ。質が劣れば数で補うことも考えるだろうが、最高のものがひとつ手元にあればそれ以外の粗製品を誰が一体望むだろう。ただぼくはここにかき抱いた少女を夢中で貪る。
 組み伏せた少女はぼくの身体の下でさっきよりもずっと激しく踊っていた。ぼくはその踊りに拍子を打つみたいに腰に体重をかけて深くを探ると、少女の身体はびくんと跳ね上がり腰がひくひくと震える。ぼくは少女の震えを下腹で感じながら自らも歓喜に腰を震わせる。獣みたいにガツガツとは致さない。接合そのものが快楽であり、少女の身じろぎひとつに激しく刺激されている。射精することはむしろ、この悦びに冷や水をあびせかけるような忌むべき生理的終末の予兆だった。それでなくても、こうしているだけでぼくはダラダラと重い粘液が尿道から零れているのを感じているのだ。それは痙攣を伴わない吐精とでも言うべき精液の漏洩だった。少女の中で強烈な勃起の維持を止め、半ば萎れた陰茎はぐるぐると蠢動しながら吐精する。圧力を伴わずに排出されたゼラチン状の精液が少女の胎内をゆっくりと這いすすんで侵していく。それは粗末な陰茎が少女の身体の奥深くまでを満たせないのを助けようと、溶かした脂肪を少女の中へ注入しているみたいだ。こうして、少女の表皮ばかりでなくもっと奥深いところでもぼくは少女と密着するのだ。密着する面積が増えれば増えるほど、ぼくの悦びはいや増すのだ。いっそ腹をさばいて少女を詰め物にしてそのまま縫い込んでしまえたらいいのに。
 少女との接合は素晴らしくて、まるで醒めるくらいならいっそ世界の終わりを望むくらいの居心地の良い夢を見ているようだった。そんな夢にはいつだって妙な生々しさがつきまとうものだった。あまりにも生々しくて、かえって夢の中にいることを強く自覚してしまう。そんな夢の中にいるような気分だった。だが、夢にしても現にしても終わりは訪れる。タイトに陰茎を挟んでいた粘膜の壁がそれまでにない動きで射精を促してしまったのだ。それは恐らく少女の絶頂に伴う強烈な痙攣だったのだろう。ぼくは自らの快感には絶えず意識を集中していたものの、少女にこの無理矢理の接合で性感が伴うとは予想だにしていなかった。ただ醜悪な蝦蟇に組み伏せられ嫌悪と破瓜の痛みに耐え忍んでいるものとばかり思っていた。
 少女が快感を覚えていた事実は射精に伴い少女への執着が冷めると共に、急激な嫌悪となってぼくの胸を突いた。吸い付いていたような皮膚を剥がそうと身を起こすと、少女の身体も一緒にもちあがった。ぼくは少女の体温も体重も体臭も厭わしくて、身体を振ったり少女の頭を掴んで押し退けたり、とにかく身体から少女を引き離そうと藻掻いた。そうこうしているうちに陰茎は再び吐精をはじめ、少女の皮膚は吸い付くというより食らい付いてでもいるかのように接合部が痛みを伴いはじめる。そして、眩暈で視界が白くなる。立っていられず、少女を貼り付けたまま仰向けに倒れた。これではぼくが少女に組み伏せられているみたいだ。白一色だった視界がやっと色づきはじめ、少女の輪郭を映すと、そこにはもうさっきまでの少女はいなかった。そこには一匹の肥え太った蝦蟇がいた。ぼくは身体の上に腹ばいになった蝦蟇を押し退けようと、手を振り上げる。その振り上げた自らの腕を見て、愕然とする。その腕はぼくの腕には見えなかった。真っ白で細くて、染みひとつない美しい腕だった。こんな状況でなければ、見とれてしまうような細腕だった。それは、今までぼくが組み敷いていたものの持ち物だった。蝦蟇はみるみる膨らんでいく。そしてぼくの身体を覆い尽くそうとしている。ぶよぶよとした冷たい脂肪の腹。ギトギトとした汚らしい痘痕だらけの表皮。あまりの嫌らしさに嘔吐が出そうだ。垂れ下がった胸の肉に顔を覆われ、窒息しそうになる。肉に溺れて喘いでいると、股座の痛みと異物感に体中が引き攣る。ここから逃れようと暴れてみても、身体を覆う肉の壁は身じろぎもしなかった。それどころか、残酷にも身体の深くに押し入ろうとするのだ。生暖かな蛞蝓のようなものが胎内を這いだす。それがくすぐるように奥へ奥へと押し寄せてくる。痛みと嫌悪感とは別のところで、奇妙な感覚がパッとひらめく。喜悦だった。こぼれそうになる甘い吐息をかみ殺して、必死に蝦蟇の侵食に耐える。だが、身体の震えはどうしようもできなかった。蝦蟇との接合部がびくびくと震え、ひきつり、蠢動をはじめる。その動きが排出ではなく迎え入れようと蠢いていることに気付くと、ぼくは自らの肉体に絶望するのだった。それなら、いっそ、嫌悪するその肉体の持ち主であることを願った。ただひたすら汚されるためだけの天使じみた少女の身体など捨ててしまいたかった。


 長い夢から目を覚ますと、ぼくは土深くの穴蔵に眠る一匹の蝦蟇だった。体内時計が春はまだ遠いことを告げている。密室の暗闇に目蓋を閉じているのか開いているかもわからない。結局、ぼくは睡魔が促すがままに再び長い眠りについて長い夢を見続けるのだ。こんなに夢ばかり見ていて、ぼくは春と夢とを見分けることができるのかしら、闇から闇へと消えていく意識の中でそんなことをチラと思う。そして、どちらもどうせ変わりはないさと、一人納得して眠りにつくのだ。

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